せら夢公園 自然観察園ブログ

自然観察園、世羅台地の野山と田んぼからの日々のたより

ミズオオバコ(水大葉子)


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▲コウホネ(河骨)の繁茂する溜池で開花したミズオオバコ(水大葉子)

コウホネ(河骨)、ヒメコウホネ(姫河骨)、オグラコウホネ(巨椋河骨)の三種類のコウホネの繁茂する溜池でミズオオバコ(水大葉子)が咲いています。

オオバコとはいっても道端に生えているものとは全く別の種類の水草です。
池の底に広がった葉がオオバコの葉に似ていることが名前の由来のようですが、地味な花をつけるオオバコとは違い、薄いピンクの可愛い花を咲かせます。

除草剤が普及するまでは、田んぼの雑草として扱われていましたが、除草剤が良く効いたせいか、田んぼで見ることは皆無と言っていいでしょう。そのため、今では絶滅危惧種に指定されていて、除草剤の入らない溜池や土水路などで細々と命をつないでいます。

田の草博士こと嶺田拓也さん(独立行政法人農業工学研究所)は、いわゆる田んぼで見られる250種を超える植物は、水田耕作の適応度から3段階に分けています。

○一時的適応: 水辺植物が一時的水域(年中水はない)として水田を利用(絶滅危惧種のほとんど)
○生態型分化: 規則正しい農作業の繰り返しに適応分化(水田と溜池で塊茎(イモ)の形成時期が違うクログワイなど)
○随伴種:    水田以外には生えることがない(稲作とともに大陸から入ってきたコナギなどの農業依存種)

ミズオオバコなど40種以上にもなる絶滅危惧種の水田雑草は「一時的適応」の植物に区分され、これらは除草剤の普及など、稲作技術の発展による環境の変化に適応できずに減少しているといいます。

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▲代かきをしたらコナギ(小菜葱)が大発生した湿生花園の田んぼ。

一方、ミズオオバコが自生する溜池のすぐ上にある田んぼでは、ミズオオバコ同様に田んぼでは雑草扱いされているコナギ(小菜葱、小水葱)が田んぼを埋め尽くしています。

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▲可愛い紫の花を咲かせるコナギだが、油断すると稲は養分を横取りされ減収必至。

お米を栽培する田んぼでは除草剤をやればコナギを抑えることはできます。しかし、除草剤の使用をやめると、土の中で眠っていた種が目覚めて田んぼ一面をコナギが覆うことも珍しくありません。

嶺田さんによるとコナギは大陸から稲作とともに日本に入ってきた「随伴種」とのこと。

和名の漢字には菜や葱の文字があてられているように、江戸時代までは野菜としても利用されていました。

種は無酸素状態さらされるほどよく発芽するので、田んぼのように稲作のために毎年耕されるような環境に適応しています。

そのためか、田んぼ以外場所で見かけることはほとんどありません。

自然観察園の湿生花園でも、耕さないままの場所ではほとんど見ることはなく、今年代かきをした場所にだけ大繁殖しています。

農薬を使用しない有機農業の稲作では、こうしたコナギの生態にあわせた抑草技術があります。

稲刈り後には田んぼを耕さないで春になって耕さない田んぼへ水を張ります。コナギが芽を切った後に数回浅く代かきをすることで新芽を取り除くというものです。

耕してしまえばコナギの種は地中深くに埋め込まれ無酸素状態にさらされます。再び田んぼが耕されると、地表に出た種は良く発芽します。これを逆手にとればコナギを抑えることができるというわけです。

一口に水田雑草といっても、いろんなタイプの植物が田んぼを利用しています。

稲作への影響が少ないものは、多めに見てやってもいいかもしれません。

  1. 2016/09/07(水) 14:45:55|
  2. 植物
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