せら夢公園 自然観察園ブログ

自然観察園、世羅台地の野山と田んぼからの日々のたより

キセルアザミ(煙管薊)が生えた農業用水路


kiseruazami20160820kurobuchi3.jpg
▲ヒョウモンモドキ(擬豹紋)の食草となるキセルアザミ(煙管薊)が茂る農業用水路(世羅町内)

自然観察園の草刈り人のもう一つの目標は、絶滅の恐れのある蝶・ヒョウモンモドキが生息できる環境を園内に再現することです。

具体的には、園内の水路や湿地の畦ぎわなどにヒョウモンモドキの食草であるキセルアザミが自生し、林縁や散策路のほとり、湿地の畦道の法面などにヒョウモンモドキの蜜源となるノアザミ(野薊)が咲き誇っている姿です。

そのお手本となる場所が近くにありました。

圃場整備(正確には「基盤整備」といいます)が行われ、農業用水路はU字溝でできていますが、水路の両側にはキセルアザミが茂っています。

昔を知る人から、「ヒョウモンモドキは田んぼのまわりで飛んでいた」という話を聞いたことがあります。

圃場整備が行われる前までは、多くの水路は土水路で、山間の水路にはキセルアザミがたくさん茂っていたことでしょう。

そんな時代は牛や人が農作業の主役で、草は資源として利用されていました。草刈りのために草を刈るのではなく、牛小屋の敷草や餌として、あるいは焼いた灰を肥料にするために草を刈っていました。

その結果、農家が意識することなく、秋の七草、ノアザミ、キセルアザミが生育する風景が広がり、その中で、人の営みに寄り添うようにヒョウモンモドキは命をつないでいたことでしょう。

今では牛もいなくなり、有機農業に取り組む一部の農家を除いて肥料は購入する農家が大半で、草刈りはただ草を刈るためだけで何も生み出さないただの作業になってしまいました。

どうせやらなくてはならないことなのですから、美しい景観をつくり、絶えそうな生き物の命を蘇らせる草刈り仕事をなんとか復活させなければなりません。

現在、ヒョウモンモドキの生息地の管理で最も重要な作業の一つは、ノアザミやキセルアザミが自生する場所の草刈りです。

草刈りをしないでおくと、ノアザミやキセルアザミは他の草に負けてしまうからです。

ですが、自然観察園全体の管理を行いながら、「ノアザミとキセルアザミのためだけの草刈りに時間を割くのは難しい」、というのが新米管理人の実感です。

というわけで、余計な手間をかけずにニ種類のアザミを増やすためには、普段から草刈りが必要な場所で、なおかつ生育に適したところを選択しようと思っています。

nippon-no-satoyama20160716nhk8_201608201628059ac.jpg
▲NHKBSの番組「ニッポンの里山」で紹介されたノアザミを残すこだわりの草刈り(田打)

ノアザミであれば遊歩道の脇や溜池の堤の法面、キセルアザミであれば、湿地に沿うように配置されている水路の脇、水がしみ出ている林縁や畦の法面です。

冒頭紹介したキセルアザミがたくさん茂っている田んぼの脇の水路は、まさに自然観察園が目指すべき場所でした。

こんな場所が世羅台地にある田んぼの周辺のいたるところで復活すれば、ヒョウモンモドキの危機的な状況も少しは良くなっていくのではないかと感じています。
  1. 2016/08/20(土) 17:08:24|
  2. 植物
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<田んぼの生き物観察会 | ホーム | 草刈り人の目標>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://0847254400.blog134.fc2.com/tb.php/1401-4d43daed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)