せら夢公園 自然観察園ブログ

自然観察園、世羅台地の野山と田んぼからの日々のたより

害虫を寄せ付けない光の技術


kouza20160810gijutsu-center2.jpg
▲ライトセーバーを手にしたジェダイの戦士?、いえいえ、手にしているのは”害虫を寄せ付けないLED防蛾灯”です。

 
”ゆめ農業”先端的環境保全型農業技術講座”の最終講義と修了式を広島県立総合技術研究所農業技術センターで行いました。
県農業技術センターは世羅町から車で1時間もかかる場所ですが、多くの受講生に足を運んでいただきました。

最終講義の内容は「害虫を寄せつけない光の技術」です。

農業技術センターでは、農薬第の削減と農家の健康被害の懸念を払拭するために、農薬に替わるヤガ(夜蛾)の対策として、ヤガの飛来と活動を抑制するLED防蛾灯を開発しました。

yaga.jpg
▲LED防蛾灯を設置した菊畑と花を食害するタバコがの成虫(右上)と幼虫(右下)
(県農業技術センターより写真を引用)

これまでも世羅の梨園などではヤガによる被害から梨を守るために黄色く光る防蛾灯が設置されていて、梨園の黄色い灯りは世羅の夏の風物詩ともなっていますが、花芽の形成が日長(正確には暗い時間)の影響を受ける光周性の作物では利用できませんでした。

菊は日長が短くなると花芽を形成し始める短日植物ですから、梨園と同じ防蛾灯を使うと開花時期が遅れます。

そこで、県農業技術センターではLEDの優れた点灯応答性と省エネに着目し、シャープとの共同開発でLEDを点滅させることでヤガの活動を抑制しつつ菊の花芽形成に影響の出ない防蛾灯を開発しました。

点滅間隔は発光0.1秒、消灯0.4秒で、1秒に2回点滅を繰り返します。そうすることで、菊の生育に影響を与えずにヤガの活動を抑制し、ヤガの被害を受ける菊は4分の1以下にまで減らすことに成功しました。

ちなみにLED防蛾灯は光周性の作物であるイチゴやホウレンソウ、スイートコーンでも利用できるそうです。

講義の後は、これまでの講座で学んだ環境保全型農業技術の試験圃場を見学しました。

最初に見学したのは、天敵温存植物を活用したトマトのハウスです。

hoshino20160810gijutsu-center.jpg
▲天敵温存植物を植えたトマトのハウス。一番手前がクレオメ。トマトの株元にはバーベナが植えてある。

うねの両端にはトマトの害虫であるオンシツコナジラミを食べてくれるタバコカスミカメの温存植物であるクレオメとバーベナが植えてあります。これで、オンシツコナジラミの被害はほぼ防げるとのことです。

ちなみに、県農業技術センターでは、来年、夏秋トマトの産地である北広島町の圃場で黄色LEDと天敵温存植物を組み合わせて薬を減らす試験が行われるそうです。

次に見学したのは、生き物を増やす田んぼの技術です。


hiyose20160810gijutsu-center.jpg
▲田んぼの水口に設置したヒヨセ(右下)

田んぼの水口付近に中にヒヨセと呼ばれる常時水を張った水路を設けると、稲の生育期間中に田んぼを干す中干し後でも、オオコイムシやマツモムシ、オタマジャクシが温存できるというものです。

農業が変わらなければ失われつつある田舎の自然を守ることはできません。
 
この見学で、”ゆめ農業”先端的環境保全型農業技術講座”は修了となりましたが、せら夢公園では、今後も自然と共生し生き物も育てる農業技術に関する講座を開催していく予定です。

次回の企画もご期待下さい。



  1. 2016/08/10(水) 17:14:52|
  2. セミナー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<カワセミ(翡翠、川蝉) | ホーム | ヤチシャジン(谷地沙参)が見頃です>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://0847254400.blog134.fc2.com/tb.php/1396-7e6411bc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)