せら夢公園 自然観察園ブログ

自然観察園、世羅台地の野山と田んぼからの日々のたより

生きものも育てる米作り研修会in田打

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▲殺虫剤を使わない田んぼでの害虫調査。我らが星野研究員が網で虫をすくっています。

8月10日、ヒョウモンモドキの新たな生息地創出を目指す世羅町田打地区のビオトーチの田んぼで病害虫に関する研修会を開催しました。

参加者は地元の農業法人・さわやか田打の岡田組合長と重鎮の坂口さん、県農業技術センターの星野研究員、それと公園の管理人を加えたこじんまりとした研修会です。

とはいうものの、少人数ながらも中身の濃い研修をすることができました。

ビオトーチは設置されて10年ほど経ちますが、この間地元の方々のご努力によって、よい環境が整い、多様な生き物が生息しています。

ヒョウモンモドキの食草であるキセルアザミや、成虫が蜜源としているノアザミも随分と増えました。

農事組合法人さわやか田打では、こうした取り組みをさらに前進させるために、ビオトーチ内に殺虫剤を使用しない田んぼを設けています。

チョウなどの昆虫に影響のある殺虫剤を減らすことで、将来、ビオトーチをヒョウモンモドキの生息地にしようと考えているのです。

この取り組みに広島県農業技術センターとせら夢公園も協力していて、定期的に病害虫の発生を調べていて、この日は農業法人の方といっしょに調べることにしました。


調べ方はいたって簡単です。

広島県農業技術センターの星野研究員が殺虫剤を使用しない田んぼと、使用した田んぼの虫を網ですくいます。

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▲うれしそう(?)に網でとらえた虫をみんなのもとへ運ぶ星野研究員

網に入った虫をプラスティックのバットに移し、害虫やそのほかの虫の様子を調べます。

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▲網の虫はバットへ移して観察。害虫はほとんどいません・・・
小さな点は稗(ひえ)の種

前日に殺虫剤とイモチ病などの予防剤を散布したという別の田んぼを調べてみると、害虫はほとんど見つかりません。

殺虫剤を1回も使用していない田んぼはどうかというと、こちらにも害虫はほとんどいません。

これまでの調査でもわかっていたのですが、今年はカメムシやウンカなどの害虫の発生が極端に少なくなっています。

調査した田んぼは9月の中頃に収穫するコシヒカリなので、仮にこれから稲を枯らす秋ウンカが増えたとしても、おそらく被害が出る前に収穫できるでしょう。

ということは、前日散布した殺虫剤の散布は無駄な費用を使ったということになります。

害虫がいなくて一安心できた研修会となったわけですが、前日行った20haの田んぼの農薬散布のことを考えると、苦笑いで締めくくる研修会ともなりました。

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▲「殺虫剤はやらんでよかったんか・・・」と苦笑いの田打の方々

ちなみに、日本の農家の多くはスケジュールに従って農薬の散布をしていますが、大規模な稲作を行っているアメリカなどでは、農薬散布にかかる費用と予測される減収とを天秤にかけて農薬散布の可否を決めています。そのための調査会社があって、農家は有料となる調査をその会社に依頼しています。

ひと昔と比べ使用される農薬の成分数は減りましたが、使っている農薬はよく効き、しかも長く効く農薬が使われています。

赤トンボの減少が各地で報告されていますが、その原因の一つがこうした農薬の仕様によるものだといわれています。

自分の目で病害虫の発生を確かめ、そのうえで無駄な農薬を使わない農家が増えなければ生き物の減少に歯止めはかからないと、あらためて考えさせられた研修会ともなりました。








  1. 2017/08/13(日) 16:59:03|
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もち米の脱穀

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園内にハゼ干ししていたもち米を足踏み脱穀機と唐箕(とうみ)を使い脱稿と選別をしました。

遅い田植えだったので収量は期待していませんでしたが、米袋一袋分のモミがとれました。

天気のいい日もう一度モミを干して、籾摺りと精米を一度にできる機械にかける予定です。

できたもち米で、今度のお正月(1月2日)にお餅つきをしてぜんざいにしてご来園者に食べていただきます。

1月2日には凧(たこ)作りと凧揚げも楽しんでいただきます。

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【本日の作業】
・自然観察園で育てたもち米の脱穀・選別(4時間)

  1. 2016/12/07(水) 16:43:52|
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土着天敵「ヒメハナカメムシ(姫花亀虫)」を増やすバジル


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▲農業講座の展示圃を引き受けて下さった世羅町青水の下原さん

来週7月21日(木)は”ゆめ農業”先端的環境保全型農業技術講座の第3回、天敵を増やす畑の技術について研修して頂きます。
座学のほかにも、実際の圃場も見学しますので、今日は、下見をしてきました。

見学するのは、世羅町青水の下原さんのナス畑です。

下原さんは以前より、畑の周囲に天敵の棲みかとなるソルゴーを植えていましたが、さらに、講座の講師を派遣して頂く広島県農業技術センターより提供されたバジルをナスの畝の両端に植えて頂いています。
畑に足を踏み入れると、バジルのいい香りがします。

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▲ソルゴーとバジル(畝の右端)を植えたナス畑

ソルゴーやバジルは、ナスの害虫であるハダニ(葉蜱)やアザミウマ(薊馬)類を食べる土着の天敵「ヒメハナカメムシ(姫花亀虫」を増やす効果のある植物です。

カメムシと聞くと、あの臭いカメムシ(御調や世羅ではハトウジともいいます)を思い浮かべてしまいます。あの臭い奴は草食系、どちらかと言えば害虫に多いタイプですが、ヒメハナカメムシは肉食系のカメムシです。
体長2mmほどの小さなカメムシですが、なかなか頼りになるヤツです。

下原さんの畑では、苗を植え付ける際には植え付けの穴に殺虫剤を使用していますが(聞き間違いで使用していないとのことを後日確認しました)、それ以降、農薬は使用していないとのこと。
1ヶ月ほど前にマムシ(蝮)に噛まれて支柱を設置する作業が遅れているとのことでしたが、ナスは葉も実も綺麗です。
ヒメハナカメムシは確認できませんでしたが、天敵温存植物の効果かもしれません。

詳しくは、講座のあとにご報告しようと思います。

  1. 2016/07/15(金) 18:24:51|
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生物多様性と農薬

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▲数日前の日本農業新聞の記事

数日前、日本農業新聞に「生物多様性の農薬」と題する国立環境研の五箇公一さんのコラムが掲載されていました。

市場に出回る農薬は、藻類、それを食べるミジンコ、ミジンコを食べる魚類という3種の水生生物に対する毒性試験をビーカーレベルで実施しており、毒性試験に使うミジンコは米国原産のオオミジンコ。
あるネオニコチノイド農薬の場合、オオミジンコの半数死亡濃度は85ppmだが、日本のミジンコやトンボ類ではなんと1ppm以下で全個体が死亡してしまう。
オオミジンコで評価しても日本産のミジンコは守れないと。

国立環境研では研究所内に実験用に小さな田んぼを設置し、ネオニコチノイド農薬がトンボの数を減らす負の影響がある事を明らかにする研究結果を発表しています。

(以下 同研究所のページより引用
 国立環境研究所は実験水田を用いて、ネオニコチノイド農薬など浸透移行性殺虫剤が、トンボ類を含む水田の生物相に対してどのような影響を与えるのかを調べました。
 その結果、以下のことが明らかになりました。

①フィプロニルが使用された水田で一部のトンボ種の発生に強い負の影響が見られたこと

②試験薬剤であるクロチアニジン、フィプロニル、及びクロラントラニリプロールはそれぞれ使用された水田内において、その水中濃度は適用後3か月以内に検出限界程度に減少するが、土壌中では栽培シーズン終了時まで比較的高濃度で検出されること

 本研究成果は、現在、国内でも広く使用される浸透移行性殺虫剤が土壌に吸着しやすく、長く留まる傾向が強いことを示すとともに、一部の殺虫剤は水田中においてトンボ相に深刻な影響を及ぼすリスクがあることを示しています。このことは、現在の農薬登録の枠組みにおいて審査を通過した農薬であっても、一部の野生生物に予期せぬ影響をもたらす可能性があることを意味しています。そのような予期せぬ影響をいかに予測可能へと近づけるかが今後の課題であり、種の多様性や生態系の多様性を考慮した農薬のリスク評価システムを構築して行くことが重要であると考えられます。
(以上引用終わり)

農薬は使用方法を守っていれば、農産物を食べる人への影響はないとされていますが、害虫や天敵以外の生き物への影響については十分調べられているわけではありません。
農薬によって農業の生産性は向上しましたが、気がついてみると、身近な田んぼから、いろいろな生き物が姿を消しています。

次回、第3回の"ゆめ農業"先端的環境保全型農業技術講座(7月21日)では、「天敵を増やす畑の技術」と題して農薬を減らすための技術に関する講義と展示圃見学を行います。
あわせて、「農業を通じた皆さんの内なる生物多様性」と題して、参加型ワークショップで「里山で農林業をやりながら、どんな生きものと、どんな関わりをもつか」について考えます。

  1. 2016/06/29(水) 17:02:22|
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”見た目”や”緑肥”だけではない”レンゲの底力”


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▲害虫の被害から稲を守ってくれるレンゲ

レンゲは、心和む景色や美味しい蜂蜜を私たち提供してくれるだけでなく、稲の有機肥料としても力を発揮してくれることは昨日紹介しました。

でも、レンゲの力はそれだけではありません。
レンゲは稲を害虫の被害から守ってくれる有用な植物であることが静岡県農林技術研究所などの研究で明らかになっています。

お米が熟れていく過程で、草食系のカメムシがお米のもととなる籾の中身を吸うと、その痕(あと)が変色して残ります。
収量には大きな影響はないものの、見た目が悪くなったり、被害を受けた米粒の割合が高くなると異臭がしたりします。
これでは農家は困るので、ほとんどの田んぼで農薬を使ったカメムシの防除が行われています。

レンゲを植えた田んぼでは、害虫のカメムシのひとつであるアカスジカスミガメ(赤筋霞亀)などを食べるコモリクモ(子守蜘蛛)の仲間が、稲刈りの後何も生えていない田んぼよりもたくさんいるというのです。
何故なら、レンゲの田んぼには、コモリグモ類がエサにしているアブラムシやあアリ、コウチュウ類など様々な昆虫がたくさん生息しているからです。
田んぼに水が張られるとクモは畦に移動しますが、害虫などの昆虫を食べるために、稲の成長とともに再び田んぼの中に移動します。
稲の生育期間中でも、レンゲを植えた田んぼはそうでない田んぼよりもクモは数倍多く、多くの害虫を食べます。
このように、稲の裏作でレンゲを植えることは害虫対策としても環境保全型農業の有望な技術になると考えられています。

こうした、田んぼの生き物を活かした農業技術については、6月9日に開講する”ゆめ農業”先端的環境保全型農業技術講座でも紹介します。
  1. 2016/05/27(金) 12:38:09|
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