せら夢公園 自然観察園ブログ

自然観察園、世羅台地の野山と田んぼからの日々のたより

ヌルデミミフシ(白膠木耳五倍子、塗る手耳五倍子)


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▲ヌルデ(白膠木)の虫こぶ”ヌルデミミフシ”

先日行った御調町でのチョウの調査の際、ヌルデの木に大きな虫こぶ(五倍子)を見つけた。

先月から調査に加わっている橋本さんからインクの原料になる五倍子だと教えてもらった。

橋本さんは元森林組合の職員で、樹木や植物に詳しい。

さっそく写真を撮り、事務所に帰って調べてみた。

虫こぶの名前は”ヌルデミミフシ”、ヌルデシロアブラムシの仕事である。

虫こぶ中空になっていて、この中にヌルデシロアブラムシがたくさん詰まっている。

これまで紹介したコナラやヤマザクラにできる虫こぶと違い、タンニンが多く含まれていることからインクの原料、皮なめし、染料や漢方薬として利用される有難い虫こぶだ。

その昔、既婚女性の目印とされていたお歯黒の原料もこの五倍子。

今でも漢方薬や染料として乾燥された五倍子が中国から輸入されている。

  1. 2016/09/12(月) 15:24:45|
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サクラハトサカフシ(桜葉鶏冠五倍子)


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▲サクラハトサカフシ(桜葉鶏冠五倍子)

公園に植えてあるヤマザクラ(山桜)にサクランボ(桜桃)がなっています。
お世辞にも美味いとは言えないサクランボですが、熟すと黒くなって食べることもできます。
と、葉の上に赤いナメクジのようなものを見つけました。
よく見ると、くっついているのではなくて、虫こぶのようです。
調べてみると、サクラハトサカフシ(桜葉鶏冠五倍子)という虫こぶでした。
文字通り、「桜の葉についたトサカ(鶏冠)のような虫こぶ」です。

虫こぶを作ったのは、サクラフシアブラムシ(桜五倍子油虫)。
春、山桜の越冬芽に産みつけられた卵から孵ったサクラフシアブラムシの仕業です。
幼虫はすべてメスで、葉が開き切る前に葉の裏の側脈の間に寄生し、虫こぶを作ります。
虫こぶの中で成長したサクラフシアブラムシは、やがて虫こぶの中で幼虫を産み始めます。

虫こぶの中で産まれた世代もすべてメスですが、今度は翅があって、5月から6月にかけて成虫は虫こぶから脱出し、ヨモギの葉裏で幼虫を産みます。

産まれる幼虫は今度もメスばかりですが、翅はありません。
その後、ヨモギで増殖を続け、秋になると翅のあるメスが現われます。
このメスがサクラへもどり、葉裏の主脈にオスとメス両方の幼虫を産みます。

この世代のメスは冬になる前に山桜の越冬芽に受精卵を産みつけす。
翌春、孵化した幼虫があの虫こぶをつくるというわけです。

う~ん、
先日紹介した、ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)をつくるナラメリンゴタマバチ(楢芽林檎玉蜂)といい、虫の生き方は、まことに摩訶不思議です。

アブラムシの生活史を分かりやすく図案化したものが高知大学農学部のホームページに掲載されています。よろしかったら覗いてみて下さい。
  1. 2016/05/08(日) 16:44:12|
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ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)

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▲ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。木の実のように見えますが食べられません。

遊歩道のわきに生えた小さなコナラ(小楢)に、赤い実のようなものがなっているのを見つけました。
でも、これは実ではありません。
コナラの新芽が虫に寄生されたせいで、異常に膨れ上がったものです。
いわゆる”虫こぶ”と言うやつですね。

”虫こぶ”には、いろんなタイプがあって、それぞれちゃんと名前がついてます。
今日見つけたのはナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。
ナラ類の新芽にできる林檎のような虫こぶ=「五倍子(ふし)という意味です。
漢字にすると分かりやすいですね。

コナラをこんなにしてしまった犯人は、ナラメリンゴタマバチ(楢芽林檎玉蜂)という蜂の仲間。
この蜂の暮らしぶりを調べてみると実に不思議です。
このこぶの中で蜂の幼虫は育ち、5月から6月にかけてオスとメスが羽化します。
羽化した雌蜂はナラ類の木の”根”に受精卵を産みつけます。
そのせいで、根は異常に膨らみナラネタマフシ(楢根玉五倍子)ができます。
この中で幼虫が育つのですが、幼虫はメスだけです。
12月頃に羽化する雌蜂は親とは違い羽はなく、未受精卵をナラ類の冬芽に卵を産みつけます。
不思議ですが、未受精卵からオスとメスの幼虫がかえり、今日、自然観察園でみつけたナラメリンゴタマフシ(楢芽林檎五倍子)をつくるのです。

管理人が大学で専攻したのは(あまり勉強はしてませんが)畜産学です。
畜産学であつかう生き物は、主に、牛、馬、豚、羊といった哺乳類、鶏、アヒルなどの鳥類などです。(ちなみに、養蜂も農業の分野で言うと畜産となりますが、ミツバチ(蜜蜂)の勉強した記憶はありません・・・)

同じ種類なのに、一世代ごとオスとメスが両方生まれるかと思ったら、次の世代ではメスだけしか産まれないとか、受精しない卵でも孵化するとか、はたまた、他の生き物に寄生するとか、虫の仲間は、哺乳類や鳥などと比べると、多種多様、考えもつかないような生き方をしています。

虫にはとんと疎い管理人ですが、かじってみると、虫の世界は、まことにワンダーワールドです。

追記 初代管理人も虫こぶについてブログにアップしています。
こちらには虫こぶの中から出てきたナラメリンゴタマバチの幼虫の写真もありますよ。
  1. 2016/04/27(水) 15:25:13|
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